東京大学大学院総合文化研究科
広域科学専攻
生命環境科学系 広域システム科学系 相関基礎科学系
2003年7月、大学院総合文化研究科の第3番目の21世紀COEとして採択された「心とことば──進化認知科学的展開」は、文理の隔たりを越えた新しい人間総合科学を構築することをめざしている。「進化人類学、遺伝学、脳科学」、「認知科学、発達科学、情報科学」、「言語科学」の3領域をマージさせ、心とことばを統合的に理解するための「進化認知科学」という新領域の創成を目標に、「人間進化学」「認知発達臨床科学」「心理言語科学」「統合言語科学」「計算言語科学」の5部門を設置している。核となるスタッフは、本研究科の言語科学(言語情報科学専攻)および認知科学(広域科学専攻)に所属する教員だが、本郷キャンパスの理・農・文・博物館・情報理工学系研究科・情報学環からも事業推進者の参加を得て、学際融合型のプログラムを展開している。
世界の生命科学研究の動向は、この2年間に急激に変貌を遂げつつある。すなわち、世界的規模で急速にポストゲノムの流れが起こりつつあり、そこでは、生命の機能をゲノム解析から解明する方向性とは相補的に、生命システムの本質である恒常性、後天的学習性、進化の柔軟性を、生命システムを構成する要素間の関連として全体的に捉える”構成的生命科学”が、まさに世界の潮流となりつつある。  当該センターは、このような世界的な生命科学研究の流れの中にあって、東京大学総合文化研究科を国内拠点とし、”構成的生命科学”で卓越した成果を挙げている国内外の大学と連携して新しい生命科学研究を強力に推進し、欧米の追随を許さない成果を挙げうる拠点形成を行うことを目標としている。
市民と現場の科学技術者の間のコミュニケーションを活性化する人材、科学技術インタープリターの養成を目的に、「科学技術振興調整費新興分野人材養成プログラム」の一つとして、2005年10月に総合文化研究科に設置された。本プログラムでは、社会と科学技術者の両者に対して、細分化・専門化する先端の科学技術の成果の意味や意義について考察するようはたらきかけ、さらに両者の対等な交流を積極的に進めうる人材の養成を行う。全学から募集した10名程度の大学院生に対し、講義と実習・演習からなる教育を実施している。カリキュラムは原則として最短1年半で完結する。全学の諸研究科に所属する教員有志が講師を務めるほか、学内ではカバーできない分野については学外の専門家の協力を仰いでいる。
21世紀に入り、ゲノム解読を機に生命科学情報は膨大なものとなり、生命科学は、医療や産業などの基幹としての学問の様相を呈してきた。このため大学は、最新の研究によって得られた知識を構造化して示すだけでなく、学生や社会に基礎的素養として教育・発信する必要に迫られている。
生命科学構造化センターは、このような社会的・学術適用性に対応するため、平成18年度からの5年間の時限事業として設立された。本センターは、東京大学の生命科学必修という長期的方針を受けて、急速に展開する生命科学の知を構造化し、大学における教養としての生命科学を確立するとともに、これを専門課程への橋渡しとし、さらに社会への啓蒙を行うことを目的としている。
主として理工系の学生向けの教科書「生命科学」と、主として生命系の学生のための教科書「理系総合のための生命科学」の作成を行っている。
また、教科書内容を理解するために必要な資料のデジタルアーカイブ化や、生命科学情報を速く検索するシステムの構築、講義の収録などにも取り組んでいる。
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